2022年2月5日土曜日

傅鐘文の本の推手の覚え書き

 推手(四正手)のやり方が、よく見る推手対練套路の動画と

有名な傅鐘文の本

Mastering Yang Style Taijiquan (English Edition) 

とで、少し違うので

傅鍾文の本のやり方を書いておきます


四正手は掤(ポン)、捋(リュー)、擠(ジー)、按(アン)

を行うものです

二人で行うのですが

交互の動作で掤(ポン)、捋(リュー)、擠(ジー)、按(アン)

を繰り返します


まず、互いに右足前の姿勢で立ち

左手は相手の左手と互いに手の甲で接触します

右手は相手の左手の肘に

塔手です


二人をAとBと呼びます

まずAは、左手を内旋して、Bの左手前腕を水平にして両手で(アン)します

按は、両手で前に押します

体重は前足に移動します

Bは、Aのを左手で掤の動作で受けます

体は押されて体重は後ろへ移動し、

後ろ足で体重を支えられるようになったら

ウエストを左へ回しながら捋の

動作を行います

最後に、左手は内旋、右手は外旋します

Aは、Bの捋(リュー)に対して

右手を肘から離して、左手の内側につけ擠(ジー)で

さらに押します

Bは、これに対して、右手を内旋させて

按(アン)でAの擠(ジー)を受けて押し返します

Aは押し返えされながら、右手を外旋させながら

右手を掤(ポン)の形にして

Bの按(アン)を受けます

Aは、受けながら左手を相手の右肘にあてます

これで初めの動作と立場が入れ替わりました

これ以降、Aは掤から捋に移っていきます

以下、一連の動作を交互に繰り返します


この本の説明は、手を回すというより

相手の按(アン)を掤(ポン)で受け、捋(リュー)でかわし、

それに対して相手は擠(ジー)で追撃するが、

こちらは按(アン)で反撃する

とまとめられ、掤(ポン)、捋(リュー)、擠(ジー)、按(アン)

が相互の動作で行われるとまとめられます


傅鐘文の本は、太極拳の教本として

国際的に高い評価を得ています

ここに書いた推手のやり方は、

楊澄甫の本

The Essence and Applications of Taijiquan (English Edition) Kindle版 

英語版    Chengfu Yang  (著), Louis Swaim  (翻訳)

に書かれているものと同じです




2022年1月4日火曜日

伝統楊式太極拳と開合

太極拳は、奥深いもので、

練習を続けていくうちに、ちょっとした動作でも

うまくいかなくなることがあります

そうした時に、どうしたらいいのかについて

ヒントを得るため

改めて各動作を捉え直し、

傅清泉先生の講習会での説明に立ち返ります

最近では、搂膝拗步がうまく行かないことがありました

右足前の動作は問題ないのですが

左足前の動作は、左膝に古い故障が

あるためか、不安定になりやすいのです

色々試行錯誤した結果、開合動作が

大切だと感じるようになりました

搂膝拗步を行うときに

まず開胯し、次に左手を外旋しながら少し持ち上げ

ウエスト(中国の腰です)を左に回すときに

左肘を肩甲骨の背骨に近いところから

左に開くようにします

開合の「開」の動作です

それによって、左の提肛を意識した動作が

行えるようになり、安定するようです

もちろんその後に、右手が閉じてくる

「合」の動作が続きます

まだ、探りながらですが

傅清泉先生が講習会で説明されていた

開合の大切さを感じています


2021年12月5日日曜日

17倒攆猴から18斜飛式

 倒攆猴から斜飛式です

斜飛式は相手に右肩から体当たりし

さらに右腕を使って相手にダメージを与えます

具体的な動作は以下です

右手前の倒攆猴からです

左足体重の虚歩です

まず、肩から当たる準備をします

ウエストを左に捻りながら

右手を外旋しながらゆっくり下ろし

左手は内旋しながら持ち上げ

体の前で両手を左手は顔の右側へ、手のひら右向き

右手は左股関節の前に持ってきて、手のひら上向にします

つぎに、相手に肩から当たっていきます

右足を持ち上げ

左股関節を軸に、骨盤を右に回していきます

この動きは、“転胯”(ツァンクワ)と言います

さらに右股関節の足を右に開いて(開胯です)

踵を地面につけて、体重を右足に移動し

弓歩になります

弓歩の方向は、 倒攆猴の方向から右回りで直角の方向です

この時、顔は、 倒攆猴の時の方向を向いたままです

イメージは右肩から体当たりをしてます

左手は、顔への相手攻撃を防いでいます

次に、体重が右足に乗ったら

左足の踵を軸に爪先を右に回し、

同時に、両手を開いて右手は、肩甲骨から回して、

手のひら上で弓歩の方向へ、相手のこめかみの

高さくらいまで伸ばして、手のひらは少し斜めに、

左手は体の左側へおろし、左の股関節の横に持っていき

虎口は弓歩の方向にします

顔は弓歩の方向です

これで斜飛式の完成です


斜めの意味は右手の軌跡が左から右へ

斜めの軌跡になるからだそうです


技のイメージは、 倒攆猴でダメージを与えた

相手とは別の相手が右側にいて、こちらに

攻撃しようとしているのに対して

カオで攻撃し、その時、相手の左足の左側に

自分の右足がくるように足をつけることで

動きにくくし、さらに左手で

相手の右腕をとり、右手を回すことで

相手の体を倒してしまうと

イメージすると良いと思います




2021年7月18日日曜日

丹田について

 太極拳を行っているみなさんは、

丹田に注意していると思います

今日は、丹田について考えたことを

少しお話しします


丹田は、へその少し下にあるものを普通指します

この丹田については、以前のブログで何回か

書きましたので、興味がありましたら

読んでください


このへその下にある丹田を下丹田と呼び

それ以外に二つ上丹田と中丹田と

言う場合があります

上丹田は頭蓋骨の中で両目の間の奥あたり

中丹田は胸の中で胃の少し上あたりのようです

これらは、それぞれ

下丹田が体全体の重心

中丹田が上半身の重心

上丹田が頭の重心と考えると良いと思います


予備勢、虚歩や分脚、蹬脚などで

この三つが、真上から見て揃っていて

両足間あるいは片足のカカトと爪先の間の上に

正しくのっている感覚が体のバランスにとって

大事だと思います

それを意識して、套路を練習するのが

大切だと感じています

ただ、機械的に、いつもそうするわけでは

ないことにも注意しましょう

上半身をいつも直立させて

命門が潰れては本末転倒ですから


2021年6月14日月曜日

中臀筋と膝の安定、膝痛予防

 伝統楊式太極拳を練習するようになってから

中臀筋が発達するようになりました

お尻の両側の凹みより少し高い位置で

盛り上がっている筋肉です

それが、若い時と比べても盛り上がってます


先日、ランニングについてのテレビ番組を見ていたら

中臀筋を鍛えることが、ランニングの着地で、

膝が内側にはいらないようにする上で重要だと

いうお話がありました


中臀筋を鍛えることで

膝が安定して、膝痛を予防するのです

爪先と踵と膝と股関節が、前から見て揃う

ようになるのです


太極拳でも、弓歩や虚歩などの動作で膝が内側にはいらない

ようにすることが膝を痛めないようにするために大切です

そのためには、この番組によると

単に姿勢を注意するだけでなく

中臀筋を鍛えることも大切のようです

伝統楊式太極拳では、開クワの動作で

中臀筋が鍛えられます

伝統楊式太極拳が膝に良い理由の

ひとつがこれなのでしょう

残念ながら制定拳には、

開クワのような動作がありません

姿勢を注意しろと指摘されるだけです

優れた指導者は、その点をカバーする指導をしているのだとは思いますが




2021年6月13日日曜日

16肘底看捶から17倒攆猴

 肘底看捶から倒攆猴です

右足荷重の虚歩の姿勢からです

左足は踵をついてます

倒攆猴は、片方の手を握った相手に対して

逃げる様子を見せて、逆に相手の腕をひねって

バランスを崩して反撃する技です

以下具体的な動作です

左肘の下においた拳を手のひらにして

手のひら上で、手の甲を下に右腰の横まで降ろします

肘は少し伸ばし気味にします

手の甲で下を押さえるような感じです

次に、右手を手のひら下にしながら

右斜め後ろに伸ばし、

目はその右手を見ます

左手は、手のひら下で前方へ伸ばします

ティータンの姿勢を保ったまま、右足の股関節に

体重をのせ、右手は手のひら下のまま前腕を折りたたみ

左足を持ち上げます

次に、左足を斜め後ろやや左へ伸ばします

そして、右の股関節を軸に左へ少し体を回して

(この時右足の股関節から下の形が崩れないように

します)

左足の爪先から床につけて、

ゆっくり体重を左足にのせていきます

視線は、この動作の初めの方向になります

体重を左足に乗せたら

右足の爪先を上げ

右足の踵をつけたままクワを閉じながら

左手は外旋しながら

手の甲から下におろし

右手は掌にして前方に伸ばします

両足の間隔が、片足の横幅くらい取れているように

します

左足体重の虚歩です

重心はほぼ左足ですが、

右足のカカトで、体を

支えている感じが大切です

以上が倒攆猴です

以下、これを左右合わせて5回繰り返します

バランスのむずかしい動作です

体幹を鍛えます


動作としては、相手に左手首を掴まれたのに

対して、左手を外旋させながら下に降ろすことで

相手の姿勢を崩して、同時に右手の掌で

相手のアゴや鼻などに反撃します

右手の掌で、しっかり相手を押し返せる

姿勢を作る必要があります





2021年5月6日木曜日

伝統楊式85式太極拳の第二段の特徴

 第二段は、第一段と違う特徴があります

第一段は比較的直線上を動いていました

基本的な動作が散りばめられています

第二段は、分脚や登脚が多いとか難しい動作が多いです

さらに、胯(クワ)を軸に体の方向を変える動作が

多くなります

これがかなり難しい

抱虎帰山、肘底看捶、攆猴、斜飛式などです

これらでは、ウエストとともにクワを、そして

大臀筋や中臀筋を使います

逆にそれを意識して行うと

これらの筋肉や体幹を効果的に鍛えることができます


体の向きを表すのに東西南北を使う

中国式のやり方では

最初の正面は南としています

これに従うと、第一段は主に西と東へ技を使います

提手上勢が例外です

それに対して、第二段は北西、南東、北東、南西

と向かう技が多くあります

その際、方向転換を行うのです

例えば、南から北西へ向かう抱虎帰山では

左のクワに体重を乗せて、ウエストを左に回し

つぎに、左クワを右に回します

開クワの動作を、左足つま先を地面につけたまま

行い左クワを回すのです

この時、体幹が鍛えられると同時に

大臀筋、中臀筋が鍛えられます

そのことをよく意識して行うのが大切です


肘底看捶、攆猴などでも同様な

動きがあります

三段目になりますが

玉女穿梭も同様な

方向転換をします


難しいですが、体幹を

鍛える動きです