2017年12月16日土曜日

骨盤とウエスト(腰)の違いの大切さー楊澄甫の写真からー

似たような話題は前にも書きましたが
最近改めて感じているので書きます

楊澄甫の写真を見て、その風格ある姿に
感銘を受けた人は多いのでは無いでしょうか
これは太極拳を少し深めた人には理解できると思います

一方24式などの制定拳の写真がホームページによく載っています
それを見ると少しがっかりします
楊澄甫のような風格が感じられません
制定拳を教えておられる多くの先生方の
講習会に参加しましたが、
残念ながら、ほとんどの先生の弓歩にも
楊澄甫のような印象がありません
楊澄甫は昔の人だし、特別なのかなと思っていましたが
傅清泉先生の講習会に初めて参加した時に見た
傅清泉先生の弓歩は楊澄甫のまさにそれでした

それはとても強い印象でした
強い印象の理由は,その時にはよく理解できませんでしたが、
それ以来、楊式太極拳に強い関心を持つようになりました
最近、改めてその理由について感じるところがありましたので
書いて見ます

制定拳では、弓歩の時、骨盤が進行方向に対して垂直になるようにと
教わりました
例えば摟膝拗歩では
上体の肩は進行方向に対して垂直です
多分、鬆腰だから上体にひねりがあってはおかしいので
骨盤も垂直にすべきというのでしょう
上体も垂直に近い姿勢にします
立身中正という訳です
この姿勢を真横から見ると腰のあたりの姿勢は
薄っぺらで貧弱です
さらに、後ろ足の膝は内側に入りやすいので
膝を内側にひねりやすく、姿勢を低くすると
膝を痛めやすい姿勢です
これは、僕の体験でもあります
制定拳の練習の翌朝は2階から
階段を降りるときに膝が重く感じたものでした

これに対して傅清泉先生が教えている楊式太極拳は
弓歩で骨盤は弓歩方向に対して斜めにします
当然上体にはウエストにひねりが入ります
これがインナーマッスルに大変良い効果があります
丹田を鍛えることにつながります
また、前に押した手に対する相手の圧力に対抗できる
姿勢にもなります。
そして、これが風格にも通じるのです
これが、楊澄甫の写真が強いインパクトを持っている
理由の一つなのです

膝にも余計な負担がかかりません
楊式太極拳と称していても、このポイントを明確にして
行わなければ
中味がないと言っていいのではないでしょうか


2017年11月19日日曜日

楊式85式太極拳を毎日続けて2年

今年の9月で楊式85式太極拳を毎日続けて2年となりました
毎日続けると体に起こるいろんな変化を感じることができ
それがとても楽しいです

例えば、
いろんな日常的な動作の中で足全体の筋肉が使われていると
感じる
例えば、歩いているときにも足の筋肉が活躍するのを感じるのです

簡単な発勁動作で両手が重く感じられる
これは
https://www.youtube.com/watch?v=H4LHqNWwBL0
のような簡単な発勁動作を軽くおこなうと
以前には感じられなかった重さを両手に感じます

体全体を覆う膜ができ、それの張りがだんだん強くなっている
前にも書きましたが、雲手を繰り返すと体中に張りを感じます

太極拳のいろんな動作で丹田を感じることができる
丹田については、いろんなweb pageにそれを感じる方法が
書いてあります
それは正しいでしょうが、傅鍾文は
考えることではなく、85式太極拳を続けて
バランスを取ろうと努力することで鍛えられると言います
確かに、85式太極拳を続けるとインナーマッスルが鍛えられて
丹田が簡単に感じられるようになりました

世間的にはもういい年寄なのに、自分の体が
少しづつ進歩するのはとても楽しいですね
85式太極拳を続けることが大切だと感じる日々です

2017年9月14日木曜日

8月に傅清泉先生講習会

今年2017年も
傅清泉先生講習会に参加しました

傅先生は相変わらず、熱い指導をしてくれました
今年の指導で印象に残ったことは
含胸抜背と提肛開胯です

以前の講習会でもこの二つのお話はありましたが
各動作の最後で、
提肛開胯することで含胸抜背になるのだ
と言う指摘です

なるほど今までの動作が中途半端だったことが
よくわかりました
またひとつ新しい目標ができたと
感じました

2017年6月26日月曜日

4単鞭から5提手上勢

単鞭の終わりの形(定式)は
起勢の時の正面に対して
左に左足前弓歩,左手は掌,顔は左手方向を向き,
右手は釣手で右後方に押し出すようにし
上体は左に対して斜めになっています

そこから左足に体重を乗せたまま
左つま先を15度内側に入れ
同時に両肩つぎに両腕の肘を少し低くしながら
両手を軽く開いて
顔は起勢の時の正面に向ける
左足に体重をさらにかけて
右足を軽く持ち上げ
ウエストを左回りにひねり
左ひじを引いてから
右足をさらに持ち上げて、
かかとから軽く起勢の時の正面に向けて出して
かかとをつけた虚歩に
同時に両手を挟むようにしながらその方向に押し出すようにする
起勢の時の正面に対して上半身は左にやや回転した
姿勢で右手は少し左手より前になる

相手の腕を両手で挟み込んで手と肘を決めるイメージです
今の虚歩のとき、左足の股関節は左踵より大きく後ろに
いかないようにしましょう
この技は相手の腕を挟んで前に押しているのです
後ろにあったら前に押せませんよね
爪先と膝の方向と太ももの骨の方向が
ずれないように

虚歩で後ろ足の股関節が踵より大きく後ろにある
24式の自称ベテランの方のビデオを良く見ます
後ろ足の膝は大丈夫でしょうか
心配になります


2017年4月15日土曜日

3攬雀尾から4単鞭

攬雀尾の終わりで,
起勢の正面から右側に向かって右足前の弓歩になり,
両手で相手を押しているところからです
うまくいっていれば相手は押されて倒れています
そして次の動作
単鞭です

今度は別の相手が初めの正面の左側から攻撃を仕掛けてきます
多分体当たりです

気配を感じて右足に体重を乗せたまま
両手の座腕を緩めて
右足のかかとを軸に右足を回して、つま先を
内側に入れます
上体も一緒に動きます
結果上体と両手は初めの正面の方向を向きます
さらにウエストを左回りにひねって
ウエストは初めの正面から左45度方向を向き,
さらに両手を捻るようにして体当たりしてきた
相手の方向に両手を向け相手の体当たりを受けます

相手がこちらに進んでくるのに応じて両手を縮め
縮んだ両手を上体,ウエストの順に右回りして
相手の方向を変更して
最後は起勢の正面の右斜め45度方向へ
両手を伸ばして相手を飛ばします
両手は座腕です
大切なのはここまでの動作の間,
体重は右足に乗せたままにすることです

うまく相手が飛んていってくれればいいのですが
そうならなかったとして動作は続きます

両手を伸ばしたまま
右手は鉤手にし左手は内旋させて手のひらを自分顔の方に向けます
鉤手は親指と小指の先をつけそれに他の3本の指をつけて
手の甲の付け根を前方へ押し出すようにして作ります

両手を伸ばしたまま
左足を持ち上げ右足に体重を乗せて
右足を軸に開クワして両手を初めの正面方向に持ってきます
左足は初めの左方向を向きます
顔も初めの左方向を向いて
その方向に左足前の弓歩を作りながら
左手は内旋させながら押し出し
同時に、右手は鉤手のまま起勢の正面の右45度方向に開いていきます
相手は私の左手の攻撃を受けることなります
右手の方向は左手の力が良く出るための向きです
左足前の弓歩はいつものように骨盤は足の前後に対して
斜め45度方の方向です

以上が単鞭の動きです

2017年2月20日月曜日

発勁fa jinと足腰手(毎日の楊式を続けて1年半)

85式伝統楊式太極拳を毎日続けて1年半に
なりました

最近ふと,13功と85式の練習を終えた後
摟膝拗步の片手を折りたたんで
顔の横に持ってきて後ろ足に体重をのせた姿勢から
その手を伸ばして弓歩になる姿勢までを
速くやってみました

最後にスパーンという音が聞こえそうな
感じに手が伸びていきます
(本当はズーンと書きたいところですが)
力が後ろ足の地面から
前に伸ばした手の掌に力が抜けていく感じです
自分でもあれっという感じです
(もちろん,力むとうまくいきません)

次に搬攬捶の動作の途中からもやってみました
これもスパーンといきます

以前、教室で総合太極拳を習いましたが
発勁動作が下手くそでした
要領を教えてもらいましたが
何度やっても上手な人のようにできない
発勁動作は素人にはできないな〜と思ってました
今思うと「腰を使って」というのが
骨盤を回すこととして教わりましたので
これは素人には難しいのでしょう

一方,伝統楊式太極拳では
足腰手の動作の基本を守って練習すると
発勁動作が特別な練習なしにできるようになります
伝統楊式太極拳を
足,腰,手の順で行うことの成果ですね

その他伝統楊式を行うときのいろんな注意が関係しそうです.
その一つは肩甲骨周りの筋肉をよく使い
柔らかくすることです
十三養生功は肩甲骨周りをよく回します.
また,伝統楊式太極拳では
摟膝拗步などで手を前に伸ばすときに
背中の方も逆方向に伸ばすようにと講習会で
注意を受けました
この動作によって肩甲骨がよく動くようになります
このことも発勁動作に関連しているように思います

もちろん、骨盤を止めて、ウエストをまわす動作も大切です

伝統楊式太極拳はすごいですね

2017年2月7日火曜日

攬雀尾の続き(5)

これで攬雀尾の最後です

擠の動作で,こちらは相手を押しています
押された相手は手を組み直して押し返してきます
この時の相手の手の組み方はこちらの擠の動作のものです

こちらは,相手の手の組み直しに対応して
手を組み替えます
擠の手を右手を内旋させながら
両手の指先を相手に向け
指先を立てながら伸ばし(座腕)
体重を後ろ足へ移動し,後ろ左足に体重が乗ったら(足)
両手は肘を両側に開くような感じで肘から引き
その後,両手を胸の前にしたままwaistを左へ回して(腰)
さらに両手を少し左後方へ回します(手)
うまくいけばこれで相手は左へ飛ばされます

それでも相手が耐えていたら
体重を前足へ移動しながら相手を押していきます(足)
そして右足に体重が乗ったところで
waistを右へ回して(腰)
最後に相手を両手を伸ばして押します(手)

これが按です

以上の動作で大切なことの一つは両手の高さを
あまり変えないことです

24式や42式では按の動作で後ろ足に乗ってから
両手を下に大きく降ろします
相手のバランスを崩すのだと説明されました
いつも疑問に思っていたのは,この動作の時
こちら側の顔や喉が無防備状態になることです
もし,相手が崩されながらも頭から頭突きをしてきたら
こちらは致命傷を受けるでしょう
こんなんでいいのかしらと思っていました
なんてお気楽な動作だろうと
この疑問に伝統楊式太極拳の動作が答えてくれました
制定拳の攬雀尾は,裏付けのない,頭で勝手に考えたもののように思います

2017年1月6日金曜日

放松(ファンソン)について

ちょっと思い出したこと
放松(ファンソン,放鬆)についてです


太極拳を始めた人が誰でも気になることの
一つが放松だと思います
放松は力んではいけないと言います
脱力状態であればいいのか,力まなければいいのか
などいろんな考えが思い浮かびます

85式の講習会で教わった放松についての傅清泉先生の言葉は
記憶では(誤解があるかもしれません)
放松(ファンソン)は上体が固定されておらず
骨盤と腰(ウエスト)と上体がねじれて
自由に動ける状態である
というものでした

また座禅の状態とも言っておられました
座禅はリラックスしているが萎えた状態ではありませんね
放松(ファンソン)は力まず外からの動きに対して
素早く対応できる状態なのでしょう

放松は気の抜けた状態ではないのです

放松(ファンソン)は脱力ではなく
力を出せる状態にあるということです
これは目からウロコですね



2017年1月4日水曜日

攬雀尾の続き(4)

捋のあとです

その前に捋の動作が終わったところの姿勢の確認です
左足が後ろで,その左足に体重がかかっています
足は虚歩で右足が前
正面右方向に対して骨盤は斜めで
左の股関節が後ろです
ウエストはさらに左に回転し上体は斜め45度くらいです
両手は右手が内旋して外向き,左手は外旋して内向きです
両手は体の中心より少し左に移動しています

ここから,
右手は外旋し,左手は内旋します
左手の指先は立てた状態で右手の手首につけます

そして次の動作に入ります
体重を左足から右足へ移動して弓歩を作っていきます
弓歩が完成したらウエストを回し左手と右手の交点も
これによって移動し,弓歩が完成したのちに
さらに左手で右手を押すようにして両手を前に押します
この時,含胸抜背,命門を開く,が大切です
両手の角度は10時10分の時計の針の方向と言われました

これが擠です

制定拳では両手は水平ですが
伝統楊式では10時10分です
制定拳の形では右肩に力が入りやすく
相手に対して押す力が出ないでしょう