2022年10月27日木曜日

歩く練習と開跨と上歩

 最近、教室で歩く練習をして気づいたことです。
開跨が大切だと

参加者の一人の方から、
片方の方が、もう一方より歩きにくい
とのことでした
よく見てみると、左右で開跨の様子が違います
歩きやすい方は、股関節から下が踵を軸に綺麗に
回っています
歩きにくい方は、股関節を開くときに
一緒に骨盤も動いています
それが、その後の前足に
体重をしっかり乗せる動作を妨げていたのです
そう思って、開跨で骨盤を動かさないようにと
アドバイスすると、楽に上歩できるように
なりました
開跨で骨盤を動かさないようにするのは
その方には、少し難しいようなので
繰り返し練習するようお願いしました
以下は進歩の歩法のまとめです

伝統楊式太極拳では、進歩の歩法は
まず、弓歩の前足を体重を乗せたまま
踵を軸に股関節から下の部分を
外側に開きます
次にウエスト(中国語の腰)を同じ方向に回します
そして、前足の踵より少し前に体重をゆっくりのせて
行くと、自然と後ろ足が軽くなるので
後ろ足を前に持ってきて
踵から着地してゆっくり体重を乗せて行きます

2022年8月11日木曜日

24撇身捶から25進步搬攔捶

 撇身捶が終わったところからです

右足前の弓歩で左手の推掌です

25進步搬攔捶に入ります

搬攔捶は相手の攻撃をかわしながら

お腹に縦拳を入れる動作です


体重を後ろに移動するために

左足踵を爪先を軸にして内側に入れます

体重を後ろ足に移動しながら

右手を縦拳にしながら前に突きます

同時に左手は外旋しながら

手のひらを内側に向けながら胸の前に持ってきます

次に右手を少し内旋させながら肘を折りたたんで

少し持ち上げ、

ウエストを左に捻り

その後は12番目の進步搬攔捶と

同じように動きます。




2022年8月9日火曜日

23扇通背から24撇身捶(ピーシェンチー)

 扇通背からです

左足前の弓歩です

左手で相手を押しています

次の撇身捶を始めます

この動作は右の裏拳で相手を打ち

引き続いて左の掌で相手を押します

具体的には

上体を起こしながら

左足の股関節から踵を軸に

爪先を内側に90度入れます

顔は左弓歩の方向に対して右90度

に向きを変えます

重心は左足に乗ったままです

同時に右手は拳を作りながら外旋して

お腹の前に、小指側をやや下になるように

下ろします

左手は額の上まで

手のひら斜め上になるようにもちあげます

次に、右足を持ち上げます

右手前腕をほぼ水平に肩くらいまで持ち上げます

右手の甲は上向きです

同時に左手はお腹の前くらいまで

下ろします

左手の手のひらで下を押さえている感じです

つぎに、左股関節を軸に

骨盤を右に回し、右足踵を着きます

同時に、右足に体重を移動しながら

右手は肘を少し突き出して

右手こぶしの甲を右足前の方向に打ち下ろします

左手はウエストの横あたりにあります

しっかり右足に体重を乗せながら

右手は手の甲を下にしたまま

肘を後ろに引き

同時に左手は座椀を作りながら

前方に推掌します

撇身捶の完成です


一連の動作のイメージはこんな感じです

扇通背で相手にダメージを与えたとき

別の相手が右側から技をかけてきます

そこで右を向き、上からのパンチを左手で受け

お腹へのパンチを右手で受けます

そうすると、もう一人の別の相手が

扇通背の動作の後ろから攻撃をかけようと

近づいてきます

そこで、振り返り様に右手の裏拳で威嚇し

それを防ぐ動作をして隙ができた相手に

左手の掌底で攻撃します








2022年7月31日日曜日

22海底針から23扇通背

 海底針からです

右足重心の虚歩からです

扇通背は、相手の腕をとって

別の手で相手の付け根を

押す技です

具体的には、

前に倒した上半身を右足重心の虚歩のまま

ゆっくりと垂直にします

両手は上半身といっしょに動きます

上半身が垂直になった時に

右手はほぼ肩の高さ

左手はウエストの高さくらいです

次に、左手は外旋しながら

右手の手首あたりに左手の手のひらを

指先を上に立てて

ウエストを右に少し回しながら持ってきます

そして、左足を持ち上げ

踵から前方に着地し

体重を左足へ移動しながら

ウエストを右に回しながら

右手は手のひらを内旋させながら

肘から折りたたみ

こめかみの横に持ってきます

左手は体重移動とともに

前方へ伸ばして、座腕を作りながら

弓歩の完成に合わせて推掌にします

扇通背の完成です


動作の意味は

海底針の右手の手首を相手は右手でつかみます

それをはずそうと右手を持ち上げます

右手の甲は相手の右手の外側です

それでも外れないので

右手を内旋させて相手の右手を捻りながらつかみ

引き寄せ

同時に相手の右手の付け根の

肩のあたりを左手で押します

相手は右手を固定されているので

押されることで大きなダメージを受けます




2022年7月9日土曜日

歩法と堤丹(ティータン)

 伝統楊式太極拳の練習に、未経験者が参加しました

それで、歩く練習をします

弓歩を作り、ゆっくり歩いて行きます

手順は、ローシーアオブーです

左足前の弓歩を作り、

開股(カイクワ)し

ウエストを左に捻って

左足にしっかり重心を移して

後ろ足が軽くなったら

ゆっくり後ろ足を前に移動させます

左足に重心がのった時には

上半身をカカトと股関節にまっすぐのせるのが

大切です

そして足を踵から床につけて

体重を前脚に移動して行きます

前足に体重をしっかり乗せるのが

未経験者には難しいですが

体幹を鍛えることができる

体にはとても良い動きです

この前足にしっかりのってから

後ろ足を前に移動させる時に

大切なのが提丹(ティータン)です

熟練者にとっても良い練習になります



2022年4月10日日曜日

21左摟膝拗步 から22海底針

 左足前の21左摟膝拗步 からです

海底針は、掴まれた右手を振りほどいて

相手の懐に右手を差し込む動作です

まず右手を振りほどく準備をします

左足にしっかり重心を乗せて

右手の座腕を緩め

右足を半歩寄せます

右足に重心を移動しながら

右手首を肘を折り畳みながら持ち上げます

この時、親指の付け根から、持ち上げるようにします

右手の指の方向は前方を向いています

右手が顔の高さくらいにきたら

ウエストを右に回します

顔は前方を向いたままです

左手はウエストと一緒に動いて

お腹の前にきます

左足を持ち上げて

左足をつま先から下ろして

つま先がついたら

虚歩の姿勢になって

ウエストを左に回しながら

上半身を股関節から

斜め前に低くしていきます

そして右手を小指側から

斜め前方に下ろしていきます

この動作で、体の前にあった左手は

体の前をはらって体の左側になり

下を抑えます

右手が一番下に来たら、右手の

親指の付け根をさらに少し持ち上げるようにします

これで海底針の完成です


動作の意味は、摟膝拗步で攻撃したところ

相手にそれを躱されて、上手く右手首をとられます

それを、半歩後ろ足を寄せて、右手首を持ち上げ

相手の手を外します

外れなかったら、さらに右手を打ち下ろして

相手の下腹部を攻撃します

相手に密着していくので勇気の必要な動きですね



2022年4月2日土曜日

18斜飛式から19提手上勢 、20白鶴亮翅 、21左摟膝拗步

斜飛式 から 提手上勢 、白鶴亮翅 、左摟膝拗步 です


まず、斜飛式が終わったところです

右足まえの弓歩です

右手は体の前で

左手は体の横です


斜飛式 から 提手上勢に移ります

後ろ足を半歩寄せます

同時に、右手は内旋して

右手のひらで

下を抑えます

後ろ足に体重を乗せたら

左肘を意識しながら

ウエストを左に回します

その後の動作は5番目の 提手上勢に

いたる動作と同じです

その後も、白鶴亮翅 、左摟膝拗步へ

のも以前の6番目と7番目と同じです


提手上勢になる動作では

相手が左手で打ってきたのを

右手で押さえて

相手の左手を

提手上勢で決めます

相手の左手の肘を

自分の右手

相手の拳を

自分の左手で挟んで

相手を抑える動作です













yっっゆみあいっし


2022年3月21日月曜日

伝統楊式85式太極拳を毎日続けて6年目

 6年目になりました。今年の冬は

気温がマイナス10度近くなる日が

あったり、大雪で近所の道は

除雪が追いつかず、

雪が踏み固められ、

信じられないくらい歩きにくくなりました

出歩くのがグッと減ってしまいました

コロナの蔓延もあります

それで太極拳はもっぱら家の中です

幸い、10数年前に、家に手を入れた時に

一階は、無垢のフローリングの

大きなワンルームにして、あまりいろんなものを

置いていないので、太極拳ができます

85式を中断しながらなんとかですが

ここ数日雪が急速に溶けたので

もう少しで近所の大きな公園にある施設の

自由空間で太極拳ができると思います




2022年3月4日金曜日

伝統楊式太極拳の弓歩と股関節

 先日、一緒に伝統楊式太極拳を

練習している方から

単鞭の弓歩について質問を受けました

バランスがうまく取れないので

弓歩を見てほしいとのことでした

ベテランの方ですので、横から見た姿勢は

ちゃんとしています

体の正面から見ると、左手の位置は

左足の内側にあり、問題ありません

右手が少し狭いように見えます

両足の幅も靴の幅ひとつ分で

大丈夫です

さらに、左足の踵と膝の関係も

前から見て、ほぼ踵の真上に膝があり

問題ありません

膝が内側に入ると膝を痛めやすくなります

気になったのは、左足の股関節の位置が

膝よりもほんの少し外側にあることです

股関節のところを左横から

「股関節がほんのちょっと内側にあるといいと

思うのですが」とちょっと押すと、簡単に

バランスが崩れました

ということで、これがバランスがうまく取れない

原因のようです

弓歩の横から見た姿勢は、チェックしやすいのですが

正面から見た姿勢も大切です

よく初心者にありがちな間違いは

左足前の弓歩で左の股関節が大きく

左側や右側にずれることです

結果上半身はやや左右に傾きます

その姿勢をしている本人は楽な

姿勢と感じますが、安定しない、

バランスのとりにくい姿勢なのです

しかも、弓歩の後ろ足が使えていない姿勢になってしまいます

この方は、これほどではないのですが

この問題があったようです

良い姿勢は、前から見ると

左足前なら左の股関節は左足の踵の少し

内側になります

こうすると、二つの足がアーチになって

しっかり体を支えている感じになります

後ろ足の膝は後ろ足のつま先の方向です

そう説明して股関節の位置に気をつけてもらうように

アドバイスしました

安定した単鞭になりました

2022年2月16日水曜日

太極拳と人間の脳

 太極拳を練習しているときに少し考えた人間の脳についての考えです。

人間の脳は、人類が生き延びるために必要な能力が備わっていると

考えられます。 

脳の優れた能力の一つとして物事の変化に敏感であるということがあると思います。

例えば、周りの様子でどこかに変化があれば、そこに猛獣が潜んでいる、あるいは

山崩れの前兆であるとか

それに敏感に気づくことは人類が生き延びるのに必要な能力だったような気がします

つまり人間の脳は変化にとても敏感だと思います

ところが、その変化があっても何事も起こらず、

ずっと変化しないとなると、それは気にしなくてもいいことになります。

それで、人間は飽きやすいとか、三日坊主になりがちになります

こうならないためには、脳のもう一つの能力の出番です

つまり、今やっていることの意味を良く理解して

出来たことに目を向けて、それを伸ばすことを

良く考えることです

そのためには、今やっていることについて良く

学ぶ必要があります

太極拳の場合は、その太極拳に

学ぶべき内容がある必要があります

傅清泉先生が教えている伝統楊式太極拳は

そうした内容が豊富です

しかも、動作が科学的で体中の筋肉が

相互に連関するようになっていきます

飽きない、しかも自分を育てることができる

太極拳です









2022年2月5日土曜日

傅鐘文の本の推手の覚え書き

 推手(四正手)のやり方が、よく見る推手対練套路の動画と

有名な傅鐘文の本

Mastering Yang Style Taijiquan (English Edition) 

とで、少し違うので

傅鍾文の本のやり方を書いておきます


四正手は掤(ポン)、捋(リュー)、擠(ジー)、按(アン)

を行うものです

二人で行うのですが

交互の動作で掤(ポン)、捋(リュー)、擠(ジー)、按(アン)

を繰り返します


まず、互いに右足前の姿勢で立ち

左手は相手の左手と互いに手の甲で接触します

右手は相手の左手の肘に

塔手です


二人をAとBと呼びます

まずAは、左手を内旋して、Bの左手前腕を水平にして両手で(アン)します

按は、両手で前に押します

体重は前足に移動します

Bは、Aのを左手で掤の動作で受けます

体は押されて体重は後ろへ移動し、

後ろ足で体重を支えられるようになったら

ウエストを左へ回しながら捋の

動作を行います

最後に、左手は内旋、右手は外旋します

Aは、Bの捋(リュー)に対して

右手を肘から離して、左手の内側につけ擠(ジー)で

さらに押します

Bは、これに対して、右手を内旋させて

按(アン)でAの擠(ジー)を受けて押し返します

Aは押し返えされながら、右手を外旋させながら

右手を掤(ポン)の形にして

Bの按(アン)を受けます

Aは、受けながら左手を相手の右肘にあてます

これで初めの動作と立場が入れ替わりました

これ以降、Aは掤から捋に移っていきます

以下、一連の動作を交互に繰り返します


この本の説明は、手を回すというより

相手の按(アン)を掤(ポン)で受け、捋(リュー)でかわし、

それに対して相手は擠(ジー)で追撃するが、

こちらは按(アン)で反撃する

とまとめられ、掤(ポン)、捋(リュー)、擠(ジー)、按(アン)

が相互の動作で行われるとまとめられます


傅鐘文の本は、太極拳の教本として

国際的に高い評価を得ています

ここに書いた推手のやり方は、

楊澄甫の本

The Essence and Applications of Taijiquan (English Edition) Kindle版 

英語版    Chengfu Yang  (著), Louis Swaim  (翻訳)

に書かれているものと同じです




2022年1月4日火曜日

伝統楊式太極拳と開合

太極拳は、奥深いもので、

練習を続けていくうちに、ちょっとした動作でも

うまくいかなくなることがあります

そうした時に、どうしたらいいのかについて

ヒントを得るため

改めて各動作を捉え直し、

傅清泉先生の講習会での説明に立ち返ります

最近では、搂膝拗步がうまく行かないことがありました

右足前の動作は問題ないのですが

左足前の動作は、左膝に古い故障が

あるためか、不安定になりやすいのです

色々試行錯誤した結果、開合動作が

大切だと感じるようになりました

搂膝拗步を行うときに

まず開胯し、次に左手を外旋しながら少し持ち上げ

ウエスト(中国の腰です)を左に回すときに

左肘を肩甲骨の背骨に近いところから

左に開くようにします

開合の「開」の動作です

それによって、左の提肛を意識した動作が

行えるようになり、安定するようです

もちろんその後に、右手が閉じてくる

「合」の動作が続きます

まだ、探りながらですが

傅清泉先生が講習会で説明されていた

開合の大切さを感じています