2016年2月19日金曜日

楊 澄甫の本の前文(続き)

座りなさい。 私の話を聞いておくれ。

私が行いそして教えている、この武術は
敵を倒すためのものではない
自分を守るためのものだ

これで世界を救えはしないが
この国を助けることができる

思慮深い人たちは、我が中国の問題は
人民の貧しさから来ていることを知っている
しかし、それが人民の弱さからきていることを知らない
だから人民を貧困から救おうとする策は知っているが
今のこの国の失敗から人民の目を覚まさせるような
弱さを克服するための策を知らない
この国の病気は謎のままになっている

誰がこの問題に、きちんと向き合っているのか

この長く続いた人民の弱さが、貧困の原因なのだ
様々な国が強くなっている様子を見てごらん
まず、はじめにその国の人民を強くすることを
しない国はないだろう
欧米の国々は言うに及ばず、小国の島国日本でも
そうだ
彼らは、体は小さいが、強くてくじけない
もし、彼らと痩せてやつれた我が人民が
競えば、どちらが勝つのかを予言する必要もない
であろう

もしそうなら、この国を救う確かな道は、この弱さから
人民を救うこと、その緊急さを認識することだ
これを無視しては、どんな策も成り立たない
ただ物事の表面をなでているだけだ

私は若かったので、自分でこの弱さの克服に
取り組んだ
私は、活力に富み体力的にも優れた職業的な武術家たちに
しばしばであった
私は魅了されて、彼らに教えを請うた
しかし彼らはそれを秘密にした


(続く)


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