2016年2月19日金曜日

楊 澄甫の本の前文


楊 澄甫の英語の本
The Essence and Applications of Taijiquan
を手に入れて
その前書きを読んでみました
日本語では手に入らなかったからです

英訳された方は、自分でも太極拳をされる方のようで
訳注が詳しい
訳者は、本文は、本当に楊 澄甫が書いたものかどうかは
怪しいと言っています
楊 澄甫の言葉を受けて弟子たちがまとめたのではないか
ということです

楊 澄甫の前文がとても面白いので紹介します
楊 澄甫が太極拳をどう位置付けていたのか
彼の世界観も知ることができ
なぜ太極拳が広まったのか
また、革命後の中国が太極拳を位置付けた理由も
よくわかる気がします

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楊 澄甫の前文

私が幼い頃、今は亡き祖父、楊露禅が
私の叔父や一族、そして弟子たちを引き連れ
太極拳の練習に精進しているのを見ていた
(楊露禅が生きたのは1799年 - 1872年、
楊 澄甫は1883年 - 1937年なので
実際には会うことはできません
ですから、以下の話は楊 澄甫が
彼の思想を説明するために作った
お話と考えたほうがいいでしょう)

あるものは一人で、あるものは推手で、
昼も夜も休むことなく練習に励んでいた
しかし、私にはある疑問があった

一人の敵の相手をするのにどんな意味があるのか
項羽のように、一人で1万の敵に立ち向かう
策を考えるべきだと思っていた

少し大きくなると、今は亡き叔父である
楊班侯が私に太極拳を教えてくれた

やがて、この疑問を隠すことができなくなり
私は,叔父にこの疑問をぶつけてみた
亡き父楊健侯は、この事を知って大変怒り
「お前は、なんと馬鹿なことを言うのだ。
お前のおじいさんが、この武術を
一族の偉大な遺産にしてくれたのだ。
お前は、これを受け継ぐという使命を
放棄するのか」

祖父は、これを聞いて、
「そんなふうに、子供を頭ごなしに叱るものではない」
と言って、私の父が怒るのをやめさせた
彼は、自分の手で私を落ち着かせて、次のように
話し始めた。

「座りなさい。私の話を聞いておくれ。


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